不動産所得・家賃収入の確定申告ガイド。集合住宅と部屋の鍵、開いた帳簿と電卓、朝日を描いたイラスト

全国 47 都道府県 対応

不動産所得・家賃収入の確定申告ガイド 事業的規模・経費・減価償却・損益通算・税理士の探し方

アパート・マンションや土地の賃貸など、不動産所得(家賃収入)の確定申告を、全国47都道府県別に解説します。総収入と経費の考え方、5棟10室の事業的規模、青色申告特別控除、減価償却、赤字の損益通算と土地の借入金利子の注意点、税理士の探し方から自分で申告する方法まで。あなたの納税地の都道府県ページで、地域の税理士数や管轄税務署とあわせて確認できます。

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職業別コラム

不動産所得(家賃収入)の確定申告——事業的規模・経費・損益通算のポイント

不動産所得の基本——家賃などの収入から経費を引いて計算

アパート・マンションや土地の貸付けで得た所得は不動産所得で、「総収入金額-必要経費」で計算し、給与など他の所得と合算する総合課税の対象です。総収入金額には、毎月の家賃のほか、礼金・更新料・名義書換料や、返還を要しない敷金・保証金、共益費なども含まれます(入居者に返す敷金・保証金は収入になりません)。会社に勤めながら賃貸を営む給与所得者も、給与・退職所得以外の所得の合計が年間20万円を超えると確定申告が必要です。不動産所得は金額が大きくなりやすく、経費の集計や減価償却の計算など、正しく申告するためのポイントが多い所得です。また、建物や土地そのものを売却したときの利益は、不動産所得ではなく譲渡所得として別に申告する点も押さえておきましょう。

出典・一次情報:国税庁 タックスアンサー No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)国税庁 タックスアンサー No.2210 必要経費の知識

「事業的規模」かどうかで扱いが変わる——5棟10室基準

不動産の貸付けが事業的規模かどうかで、所得計算上の扱いが変わります。建物なら貸せる独立した室数がおおむね10室以上、独立家屋ならおおむね5棟以上が、事業的規模と判断される目安です(5棟10室基準)。事業的規模なら、青色申告特別控除が最高55万円(電子帳簿保存またはe-Taxで65万円)使え、生計を一にする家族への青色事業専従者給与を経費にでき、建物の取壊しなどの資産損失を全額経費にできる、といった有利な扱いになります。事業的規模でない場合は青色控除は最高10万円で、資産損失も損失を差し引く前のその年の不動産所得の金額が限度です。青色申告には、原則としてその年の3月15日まで(新規開業などは開業後2か月以内)に「青色申告承認申請書」を提出しておく必要があります。なお令和8年度税制改正により、令和9年分以後はe-Tax等の要件で65万円、優良な電子帳簿の要件でさらに75万円へ引き上げられます。

出典・一次情報:国税庁 タックスアンサー No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除財務省 令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定・一4(3))

必要経費と減価償却——建物は分割して費用にする

不動産所得の必要経費の主なものは、固定資産税・都市計画税、損害保険料、管理委託料や入居者募集の仲介手数料、修繕費、借入金の利子、そして減価償却費です。建物や附属設備は、買った年に全額を経費にするのではなく、法定耐用年数にわたって分割し、減価償却費として毎年計上します。一方、時の経過で価値が減らない土地は減価償却の対象になりません。物件を購入したときに支払った仲介手数料は、その年の経費ではなく建物などの取得価額に含めて減価償却します(土地の分は償却しません)。一方、賃貸用(業務用)の土地・建物にかかる不動産取得税や登録免許税は、支払った年の必要経費に算入できます。固定資産税は業務用の部分に限って経費になり、所得税・住民税は経費になりません。また、生計を一にする家族へ支払う地代や給与は、青色事業専従者給与などを除き、原則として経費にできません。なお、取得価額が10万円未満のものは、その年に全額を必要経費にできます。

出典・一次情報:国税庁 タックスアンサー No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)国税庁 タックスアンサー No.2100 減価償却のあらまし国税庁 タックスアンサー No.2210 必要経費の知識国税庁 タックスアンサー No.2215 固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合

赤字は損益通算できる——ただし土地の借入金利子に注意

不動産所得が赤字(損失)になった年は、その損失を給与など他の黒字の所得から差し引けます(損益通算)。減価償却費などで赤字になりやすい賃貸経営では、大きな節税につながる仕組みです。ただし落とし穴があり、土地等を取得するための借入金の利子に相当する赤字部分は、損益通算できません(生じなかったものとみなされます。建物の取得分の利子は対象外で、通算できます)。別荘など趣味・保養目的の貸付けや、一定の国外中古建物の損失も対象外です。なお、居住用の住宅の家賃は消費税が非課税で、住宅だけを貸す大家さんの多くは消費税の課税事業者になりません(課税売上が年1,000万円を超えると課税事業者。店舗・事務所・駐車場の貸付けは課税対象です)。

出典・一次情報:国税庁 タックスアンサー No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算国税庁 タックスアンサー No.2210 必要経費の知識国税庁 タックスアンサー No.6201 非課税となる取引(住宅の貸付け)

不動産所得・家賃収入の経費になりやすい支出の例

経費項目ポイント
固定資産税・都市計画税貸している土地・建物にかかる分(業務用部分)。所得税・住民税は経費にならない。
損害保険料賃貸物件にかけた火災保険・地震保険などの保険料(その年に対応する分)。
減価償却費建物・附属設備の取得費を法定耐用年数で分割計上。土地は対象外。
修繕費原状回復や小規模な修繕の費用(価値を高める資本的支出は減価償却)。
借入金の利子物件購入ローンの利子。ただし土地取得分は赤字時の損益通算に制限あり。
管理委託料・入居者募集の仲介手数料管理会社への委託料や、入居者募集(客付け)の仲介手数料。物件購入時の仲介手数料は取得価額に含める。
青色事業専従者給与事業的規模で、生計を一にする家族に支払う給与(事前の届出が必要)。
税理士報酬確定申告や記帳を税理士へ依頼する費用。物件数が多いほど相談価値が高い。

※経費該当性は業態・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。

探し方総論

不動産所得・家賃収入の税理士の探し方・自分で申告する方法

確定申告の進め方は、大きく「税理士に依頼する」「自分で申告する」の 2 通りです。 依頼するなら無料紹介やスポット比較、自分でやるなら会計ソフトが現実的な選択肢になります。 お住まいの都道府県ページでは、これらに加えて Google マップでの探し方・管轄税務署の一覧も併せて案内しています。

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都道府県別ガイド

都道府県別 不動産所得・家賃収入の確定申告ガイド

お住まい(納税地)の都道府県を選んでください。県内の税理士数・管轄税務署の一覧つきで、 不動産所得・家賃収入向けの確定申告情報を県別に案内します。

北海道

東北

関東

中部

近畿

中国

四国

九州・沖縄

Q&A

不動産所得・家賃収入の確定申告 よくある質問

Q. 不動産の「事業的規模」だと何が変わりますか?
A. 建物なら独立した室数がおおむね10室以上、独立家屋なら5棟以上が目安です(5棟10室基準)。事業的規模だと、青色申告特別控除が最高65万円、家族への専従者給与、資産損失の全額経費算入などが使え有利です。未満だと青色控除は最高10万円になります。
Q. 敷金や礼金・更新料も収入になりますか?
A. 入居者に返す敷金・保証金は収入になりません。一方、返還を要しない敷金・保証金や、礼金・更新料・名義書換料、共益費などは総収入金額に含めます。返すお金か返さないお金かで扱いが分かれる点に注意してください。
Q. 不動産所得が赤字なら税金は減りますか?
A. 不動産所得の赤字は、給与など他の黒字の所得と損益通算でき、税負担を減らせます。ただし、土地等を取得するための借入金の利子に相当する赤字部分は損益通算できません。別荘など趣味・保養目的の貸付けの損失も対象外です。
Q. 青色申告特別控除は不動産所得でいくら受けられますか?
A. 事業的規模で正規の簿記により記帳すれば最高55万円、電子帳簿保存またはe-Taxなら65万円、それ以外は最高10万円です。令和9年分以後は、e-Tax等の要件で65万円、優良な電子帳簿の要件でさらに75万円に引き上げられます。