不動産所得・家賃収入の確定申告 Q&A「家賃収入を確定申告しなかったら どうなる?」。賃貸借契約書と家賃の通帳、鍵の束を並べた机の上

不動産所得・家賃収入の確定申告 Q&A

家賃収入を確定申告しなかったら どうなる?

公開 2026年8月13日 |監修 小野 好聡(公認会計士・税理士)

お答えします

本来の所得税に加えて、無申告加算税延滞税がかかります。割合は、税務署の調査の事前通知が来る前に自分から出したか、調査を受けてから出したかで変わります。法人へ貸している場合は、家賃の額が支払調書で先に税務署へ届いています。

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解説

くわしい解説

期限を過ぎてから出すと、税金に何が足されるか

申告していない年があると、その年の申告は期限後申告になります。納める所得税に加えて、無申告加算税が課されます。

割合は、出す時期で三段階に分かれます。調査の事前通知の前に自分から出した場合は5パーセント。事前通知の後、調査による決定を予知する前に出した場合は10パーセントで、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)については、50万円を超え300万円までの部分が15パーセント、300万円を超える部分が25パーセントになります。

調査を受けた後に出した場合や、税務署から決定を受けた場合は15パーセントで、50万円を超える部分が20パーセントです。300万円を超える部分が30パーセントになるのは、こちらも令和5年分以降です。部屋数が多く家賃収入がまとまっている方ほど、上の段の割合が当たる部分が増えます。

調査の事前通知の前に自分から出した場合が5パーセント、事前通知の後で決定を予知する前が10パーセント、調査を受けた後や決定を受けた場合が15パーセントとなり、後の二つには50万円を超える部分と300万円を超える部分に高い割合が適用されることを示した図。
無申告加算税の割合は、期限後申告をいつ出したかで三段階に分かれます。

借主が法人なら、家賃の支払調書が先に届いている

所得税法225条1項9号は、不動産や不動産の上に存する権利の貸付けの対価を支払う法人と、政令で定める不動産業者である個人に、支払調書の提出を求めています。事務所や社宅として法人へ貸している場合、家賃の額と受取人の氏名は、支払調書として税務署へ提出されます。ただし、どの範囲を提出するかは財務省令で定められていますので、少額の家賃だけであれば対象から外れることがあります。

管理会社を通して受け取っている場合も、家賃を負担しているのが法人であれば同じです。駐車場や看板の設置料など、不動産等の貸付けの対価にあたるものも含まれます。

個人の入居者だけに貸している場合、この支払調書は出ません。もっとも、物件を持っていること自体は登記簿や固定資産税の課税台帳に記録されていますので、貸付けの有無を確かめる手がかりは残ります。

遅れた分の延滞税と、隠したときの重加算税

期限後申告では、申告書を出した日がそのまま納期限です。納付の日までの延滞税も一緒に納めます。

入金のある口座を申告から外したり、契約書を作り変えたりして申告しなかった場合は、無申告加算税に代えて重加算税が課されます。国税通則法68条2項は、その割合を納付すべき税額の百分の四十と定めています。なお、調査で決定があるべきことを予知せずに提出したときは、条文の括弧書きによって重加算税の対象から外れます。

減価償却の計算が分からずに手が止まっていた場合と、事実を隠した場合とは、扱いが分かれます。

さかのぼる5年分に、どの資料が要るか

更正または決定ができる期間は、法定申告期限から5年です(国税通則法70条1項)。偽りその他不正の行為により税額を免れていた場合は7年になります(同条5項1号)。

さかのぼって計算するときは、賃貸借契約書、家賃の入金が分かる通帳、固定資産税の納税通知書、借入金の返済予定表を年ごとにそろえます。

建物の減価償却は、取得価額と取得の時期から計算します。購入したときの売買契約書や、相続で引き継いだ場合は被相続人が使っていた取得価額の資料が要りますので、古い書類ほど先に探しておくと進みます。

法定申告期限を起点に、更正または決定ができる期間が5年、偽りその他不正の行為により税額を免れていた場合は7年であることを、長さの違う二本の帯で示した図。
更正や決定がさかのぼる期間は5年、偽りその他不正の行為があった場合は7年です。

いま出すと、どこが変わるか

通知が届く前に自分から出せば、割合は5パーセントです。さらに、法定申告期限から1か月以内の自主的な期限後申告で、税金の全額を法定納期限までに納めていることなどの要件を満たすと、無申告加算税はかからない扱いになります。

青色申告特別控除のうち大きい枠は、その年の確定申告期限までの提出が条件です。期限を過ぎた申告は、この条件から外れます。

修繕が重なって赤字になった年も、申告しておく意味があります。青色申告をしている方の純損失の繰越控除は、損失が生じた年分の確定申告書を提出し、その後も連続して提出していることが条件です(所得税法70条4項)。求められているのは申告書の提出で、期限内であることは要件になっていません。期限後の申告であっても、青色申告をしていれば繰越しは使えます。その年を飛ばすと、そこで繰越が途切れます。

一次情報

根拠となる法令・通達・タックスアンサー等(原文)

所得税法 第70条第4項(純損失の繰越控除の適用要件)(抜粋)

 第一項又は第二項の規定は、これらの規定に規定する居住者が純損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出し、かつ、それぞれその後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-08-12 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第70条第4項/第1項は青色申告書を提出する居住者の純損失、第2項は被災事業用資産の損失等に係る繰越控除
第1項から第3項まで、および第5項は省略しています。

所得税法 第225条第1項(支払調書及び支払通知書)(抜粋)

第二百二十五条 次の各号に掲げる者は、財務省令で定めるところにより、当該各号に規定する支払(……)に関する調書を、その支払(……)の確定した日(……)の属する年の翌年一月三十一日まで(……)に、税務署長に提出しなければならない。

 居住者又は内国法人に対し国内において第二百四条第一項各号(報酬、料金等に係る源泉徴収義務)に掲げる報酬、料金、契約金若しくは賞金、第二百九条の二(定期積金の給付補塡金等に係る源泉徴収義務)に規定する給付補塡金、利息、利益若しくは差益又は第二百十条(匿名組合契約等の利益の分配に係る源泉徴収義務)に規定する利益の分配につき支払をする者

 前号に該当するものを除くほか、国内において不動産、不動産の上に存する権利、船舶若しくは航空機(以下この号において「不動産等」という。)の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含む。以下この号において同じ。)若しくは不動産等の譲渡に係る対価又は不動産等の売買若しくは貸付けのあつせんに係る手数料の支払をする法人又は不動産業者(政令で定めるものに限る。)である個人

十三 居住者又は恒久的施設を有する非居住者が国内において行つた第二百二十四条の五第二項(先物取引の差金等決済をする者の告知)に規定する差金等決済に係る同項に規定する先物取引の同条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-08-12 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第225条第1項第3号・第9号・第13号
柱書の括弧書きは「……」で省略しています。第1号・第2号・第4号から第8号まで、第10号から第12号まで、第14号および第2項以下は省略しています。

国税通則法 第68条第2項(重加算税)(抜粋)

 第六十六条第一項(無申告加算税)の規定に該当する場合(同項ただし書若しくは同条第九項の規定の適用がある場合又は納税申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、かつ、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定申告期限後に納税申告書若しくは更正請求書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の四十の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000066)/2026-08-12 取得時点
根拠法令等:国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第68条第2項/過少申告の場合の第1項、不納付の場合の第3項、加重措置の第4項は別掲
第1項(過少申告の場合)、第3項(不納付の場合)および第4項(過去に無申告加算税等を課されている場合の加重)は省略しています。

国税通則法 第70条(国税の更正、決定等の期間制限)(抜粋)

第七十条 次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限又は日から五年(第二号に規定する課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出があつたものに係る賦課決定(納付すべき税額を減少させるものを除く。)については、三年)を経過した日以後においては、することができない。

 更正又は決定……その更正又は決定に係る国税の法定申告期限(還付請求申告書に係る更正については当該申告書を提出した日とし、還付請求申告書の提出がない場合にする第二十五条(決定)の規定による決定又はその決定後にする更正については政令で定める日とする。)

 次の各号に掲げる更正決定等は、第一項又は前二項の規定にかかわらず、第一項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、同項各号に定める期限又は日から七年を経過する日まで、することができる。

 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、又はその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税(当該国税に係る加算税及び過怠税を含む。)についての更正決定等

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000066)/2026-08-12 取得時点
根拠法令等:国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第70条第1項・第5項
第1項第2号・第3号、第2項から第4項まで、第5項第2号・第3号は省略しています。第1項第1号は表形式のため、左欄と右欄を「……」で区切っています。

国税庁 タックスアンサー No.2024 確定申告を忘れたとき(抜粋)

所得税法では毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付することになっています。

しかし、期限内に確定申告を忘れた場合でも、その事実を把握した際には、できるだけ早く申告するようにしてください。この場合は、期限後申告として取り扱われます。

また、期限後申告をしたり、所得金額の決定を受けたりすると、申告内容等によっては、納める税金のほかに無申告加算税が課されます。

加算税

1 税務署からの調査の事前通知の前に自主的に期限後申告をした場合

税務署からの調査の事前通知の前に自主的に期限後申告をした場合は、納付すべき税金のほかに、納付すべき税金に5パーセントの割合を乗じた金額の無申告加算税がかかります。

2 税務署からの調査の事前通知の後に期限後申告をした場合(調査による決定を予知する前の期限後申告)

(1) 税務署からの調査の事前通知の後に期限後申告をした場合(調査による決定を予知する前の期限後申告)には、納付すべき税金のほかに、納付すべき税金に10パーセントの割合を乗じた金額の無申告加算税がかかります。

ただし、納付すべき税金が50万円を超えている場合、その超えている部分については15パーセントの割合になります。

また、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)については、納付すべき税金が、50万円までの部分は10パーセント、50万円を超え300万円までの部分は15パーセント、300万円を超える部分は25パーセントの割合になります。

3 税務署の調査を受けた後に期限後申告をした場合(調査による決定を予知した期限後申告)

(1) 税務署の調査を受けた後に期限後申告をした場合や税務署から申告納税額の決定を受けた場合には、納付すべき税金のほかに、納付すべき税金に15パーセントの割合を乗じた金額の無申告加算税がかかります。

ただし、納付すべき税金が50万円を超えている場合、その超えている部分については20パーセントの割合になります。

また、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)については、納付すべき税金が、50万円までの部分は15パーセント、50万円を超え300万円までの部分は20パーセント、300万円を超える部分は30パーセントの割合になります。

5 期限後申告であっても、次の要件をすべて満たす場合には無申告加算税はかかりません。

(1) その期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること。

(2) 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。

なお、一定の場合とは、次のイおよびロのいずれにも該当する場合をいいます。

イ その期限後申告に係る納付すべき税金の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。

ロ その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。

延滞税

期限後申告によって納める税金は、申告書を提出した日が納期限となりますので、その日に納めてください。

また、この場合は、納付の日までの延滞税を併せて納付する必要があります(延滞税の計算方法については、こちらを参照してください。)

出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm)/令和7年4月1日現在法令等
根拠法令等:所法120、通法18、35、60、66、通令27の2、措法94、平28改正通法附則54③、令4改正通則法附則20②、令5改正通則法附則23③
加算税の2(2)・3(2)(過去に無申告加算税等を課されている場合の加重)と4(帳簿の提示等がない場合の加重)、および作成コーナーの案内は省略しています。

国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除(控除を受けるための要件と申告期限)(抜粋)

55万円の青色申告特別控除

この55万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。

(1)不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること。

(2)これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。

(3)(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書および所得の金額の計算に関する明細書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出すること。

(注4) 還付申告書等を提出する方であっても、55万円または65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出する必要があります。

65万円の青色申告特別控除

この65万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。

(1) 上記「55万円の青色申告特別控除」の要件に該当していること。

(2) 次のいずれかに該当していること。

イ その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存(下記<参考>参照)を行っていること(※注1)

ロ その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表、損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと(※注2)

10万円の青色申告特別控除

この控除は、上記「55万円の青色申告特別控除」および「65万円の青色申告特別控除」の要件に該当しない青色申告者が受けられます。

出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm)/令和7年4月1日現在法令等
根拠法令等:措法25の2、措通25の2-1、電子帳簿保存法2、4、5
概要、注記(注1)から(注3)まで、電子帳簿保存の参考説明、および10万円の控除の注記は省略しています。

※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。

不動産所得・家賃収入の場合

不動産所得・家賃収入の場合、ここが分かれ目

不動産所得は、家賃から必要経費を引いた残りです。借入金の返済のうち元本にあたる部分は必要経費になりませんので、手元の資金繰りと所得の額はずれます。持ち出しが続いているから申告は要らないと考えていた方が、計算し直すと所得が出ていることがあります。

相続で引き継いだ物件では、申告する人が途中で変わります。引き継いだ日より後に発生する家賃が、こちらの不動産所得です。遺産分割が決まるまでの間に入った家賃の扱いも含めて、年の途中で区切って集計することになります。

※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。

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